ブックタイトルFのさかな30号 飛魚(とびうお) 2014年 冬

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概要

日本のさかな文化を能登から発信するフリーマガジン

中島町七尾市い光景が見られる。魚屋の店頭にも並ぶが、祭りの頃は高値がつくのもうなずける。 同じことが続いていく日々の中で、今年も変わりなくこの日を迎えられた喜びを分かち合う日でもある。能登の祭りを取材すると皆一様に、この日のために一年、一日を生きていると話す。単なる行事とか、予定とかそんな軽いものではなく、遺伝子に組み込まれた郷愁の念とでも言おうか。一度廃れたら二度と取り戻せないことがわかっているから、心と心をつなぎ、未来へとつないでいく。 昨今、祭りを観光資源にする動きが活発だ。多くの人が参加しやすいよう、日程を調整して休日に開催する向きも多い。祭りという一 ちょうどこの頃は、イイダコの季節。地元の人たちは朝早くからこぞってイイダコ釣りに出かける。「大きいのが釣れたわいね」。料理するのは、かあちゃんたち。石川には「加賀のかか(母)楽、能登のとと(父)楽」という言葉があり、能登の女性は働き者、その上、料理上手ときている。魚をさばくのもお手のもの。とうちゃんが釣ってきたイイダコを手早く下処理し、煮物や酢の物にする。赤飯や煮しめとともにお重に詰めて、境内に持ち込む。お昼どきには、木陰で家族と弁当を広げる睦まじ重箱に詰めた 祭りごっつお心と心をつなぎ未来へ種のエンターテイメントを集客手段にするのは地域振興策のひとつだろう。しかし、守り継いできたやり方を貫き、変えないのも選択である。 神様との縁日である9月20日をかたくなに守り、学校、職場の理解も得て、地域ぐるみで取り組む。留守番は猫だけといわれ、年寄りには年寄りの、子どもには子どもの、老若男女それぞれに役割がある。二十日祭りは、一人ひとりが地域で生きている意味を確認する日なのかもしれない。 刈り入れの終わった田んぼのあぜには、彼岸花が揺れていた。頬をなでる秋風がひんやりした。イイダコと里芋の煮物 イイダコは丸ごと煮付ける海沿いの町は漁業の神様、恵比寿様を担ぐ息を合わせて枠旗を倒す島田くずし旗が地面と平行になればなるほど大きな歓声が上がる※後でわかったことですが、学校が休みになるのではなく短 縮授業で切り上げ、伝統文化の継承に理解を示している とのことです。21 Fのさかな Vol.30