ブックタイトルFのさかな30号 飛魚(とびうお) 2014年 冬

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概要

日本のさかな文化を能登から発信するフリーマガジン

青空と木々の緑に深紅の枠旗、コントラスト鮮やか お熊甲祭は、七尾市中島町の豊作に感謝する秋祭り。地域の結束固く千年以上も続く。地元では二十日祭りと呼び、神様とゆかりのある9月20日に行う。新しい年のカレンダーに掛け替えると真っ先に、祭りの日が何曜日か確認する。土地に暮らす人々はそれほどまでにこの祭りに重きを置いている。祭りに異国の風奇祭といわれる所以 能登では祭りが町自慢のネタになることが多い。以前、知人が自慢気に言った。お熊甲祭は、毎年9月20日と決まっている。学校が休みになり、子どもたちも全員祭りに参加する。そんな話に興味津津、昨年、お熊甲祭を見る機会を得た。神様との縁日を大切に守る収穫感謝祭 お熊甲祭二十四【二十日祭り】 起源は定かではないが、祭神に異国風の装束をまとった渡来神が祀られていることから、朝鮮半島から入ってきたといわれている。日本海に突き出た能登半島は、古来より大陸との交流があり、多くの文化が海の向こうからもたらされた。奈良時代から平安時代にかけて、大陸に渤海国という国があった。能登の外浦(大陸に面した海)にある福浦港は渤海国との交易で栄えた港だ。 海を越えて渡ってきた神が、内陸に鎮座するのはよくあるケースで、久麻加夫都阿良加志比古神社(くまかぶとあらかしひこ)の祭神も朝鮮半島からやってきた神がこの地に落ち着いたとも伝わる。 この祭りを一目見たなら、深紅の枠旗に異国の影響を感じない人はいないだろう。赤という色からは魔除けや祈祷、祝祭などが連想される。赤は日本はもちろん韓国や中国でも祝祭になくてはならない色であり、深みのある赤は異国情緒を感じさせるに十分だ。 枠旗を担ぐ形は全国でも類をみないといい、一般には行列の先導役を務める猿田彦が、軽妙洒脱に舞い踊るのも珍しい。一番の見せどころである加茂原での島田くずしは、その昔、枠旗の先端が娘の島田に結った髷に触れ、髷がほどけるほど地面すれすれまで下げたことから呼ばれる妙技だ。Fのさかな Vol.30 20