ブックタイトルFのさかな30号 飛魚(とびうお) 2014年 冬
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日本のさかな文化を能登から発信するフリーマガジン
空を飛ぶ珍しい魚トビウオは、パニック映画のネタもとにされたことがあります。 「タイタニック」や「アバター」などで有名な巨匠、ジェイムズ・キャメロンの初監督作品「殺人魚フライングキラー(1981年制作)」がそれです。 トビウオとピラニアをかけ合わせた空飛ぶ殺人魚によって、カリブ海のリゾート地がパニックに!という映画なのですが、この殺人魚の見た目はピラニアにトビウオの胸びれをくっつけた、そのまんま。 シナリオや特殊効果も含め、全編に漂いまくるB級臭さに予算がないって大変だなぁと思ったりもするのですが、一応パニック映画なので残酷なシーンも多々あり、子供には刺激が強いかもしれません。 ただ、人に歴史ありといいますか、巨匠でも初めはこうだったんだなぁ…と変な感慨を抱く映画でもあります。 トール・ヘイエルダールという人物をご存知でしょうか? ノルウェー出身の人類学者で、1947年、コンティキ号と名付けたイカダでペルーから南太平洋ポリネシアのツアモツ諸島まで、約8,000㎞を航海した偉大な探検家でもあります。 1948年、彼はその探検をまとめた「コンティキ号探検記」を発表したのですが、その中にはトビウオについて記された箇所があります。 トビウオはよく船に自ら飛び込むことがあるそうですが、コンティキ号にも昼となく夜となくイカダに飛び込んで来て、乗組員たちはだいぶ辟易したようです。 それでも食べると美味しいので、夜の間に飛び込んで来たトビウオを集めて食糧にしていたそうです。 自分に向けてびゅんびゅん飛んでくるトビウオ…当たるととても痛そうなので、あまり歓迎したくないですね。 台湾本島から東南へ約70㎞。 その海上にあるのが、独自の海洋文化を育んできた蘭嶼島(らんゆうとう)です。 その島に住む台湾の先住民族タオ族の人々は、トビウオを神様から贈られる大切な食糧としてとても重んじています。 春と夏に行なわれるトビウオ祭りなどの年中行事の他、生活、建築の様式に至るまでがトビウオ漁を中心として構成されています。 タオ族の言い伝えでは、トビウオなどの回遊魚は普段は天にいるのですが、春になるとタオ族に恵みをもたらすために天から降りてくる、とても神聖な魚とされていました。 そのため、これらの魚を獲ったり食べたりするにはいろいろな儀式があるそうです。 文化は食によって定義されるともいいますが、タオ族の間では今でも伝統的な海洋文化が伝えられているのです。トビウオの 雑学あれこれ11 Fのさかな Vol.30